ロワエールができるまで
しあわせな記憶が
つまった土地を出発点に。

2011年にロワエールを創業し、現在は専務の立場で
会社をサポートしている外村真美です。
不動産賃貸管理業という世界でたくさんの出会いや学びを
経験させていただきました。
創業以来、大切にしている私たちの思いをお届けします。

別世界から不動産業界へ転身

株式会社ロワエール
元代表取締役 現専務 外村真美

1983年札幌生まれ。立命館大学政策科学部政策科学科を卒業し、三井化学株式会社に総合職として入社。福岡勤務を経て東京配属となる。海外出張など多忙な日々を過ごすも祖母の他界を機に退職を決断。新たなチャレンジとして企業広報を学ぶため札幌へ戻り、北海道大学大学院にて国際広報メディアを専攻。2011年に株式会社ロワエールを設立。

 不動産賃貸管理業を主とするロワエールを立ち上げるまで、東京の会社でOLをしていました。まったく別の世界で起業するなんて、人生どこで何が起きるのか分からないものですね。でも、だから面白いのかもしれません。

 大学卒業後に勤めた会社では総合職に就き、事業部全体の数字管理からアジア圏を中心とする海外出張も経験。日付をまたいでの残業も珍しくなく、やりがいの一方で心身がすり切れるような毎日でした。

 そんなとき、祖母が他界。仕事とはいえ、大切な人の最期に立ち合えない生活が自分にとっていいことなのか。それ以前からも、当時の仕事環境と自分の求める生き方にギャップを感じていたこともあり、人生を見つめ直すきっかけになりました。結果的には会社を辞めて、一から学び直すため地元札幌へ戻って大学院へ。ある意味、新しい人生の扉を開いてくれた祖母を思うとき、浮かぶのは子どもの頃のなつかしい記憶。家族みんなで過ごしたあの日の光景が、そのままロワエールの原点になっています。

家族の絆を深めた祖父母の家

 かつて祖父母が暮らしていた家には、お盆やお正月になると家族や親戚が集まり、みんなで賑やかに過ごしたものです。弟が産まれるときに預けられたのも、おばあちゃんち。仕事帰りに父が迎えに来ると、安堵からか泣きながら抱きついたりして。ママっ子だった私が父との距離を縮めたのも、このときだった気がします。

 元旦には祖父と書き初めをしたり、祖母が繭玉をつくったり。同年代のいとこともよく遊びました。押し入れから布団にジャンプして「床が抜ける!」と怒られたのも、なつかしい思い出です。祖父がご機嫌なときは大音量でレコードを聴かせてくれたり、近くのスーパーのゲームセンターに連れていってくれたり。子ども時代の楽しい記憶は宝ものですね。大人になっていろいろな場面に遭遇したとき、無意識のうちに心の支えになっている気がします。

思い出の土地をどう活かすか

 祖母が亡くなった後、祖父は何年かひとり暮らしを続けましたが、高齢なこともあり私の実家で同居することになりました。そこで問題になったのが、誰も住まない土地をどう扱うか。私たち家族にとっては数十年来の愛着がある大切な場所です。駐車場として管理するのか、いっそ売却してしまうのか…。祖父母が長年暮らした時間を尊重したい、家族の絆を深めた土地を手放したくないとの思いもありました。知人に相談したところ、賃貸アパート経営で大切な土地を活かしてはどうかと。これには家族や親戚も賛同し、銀行からは新規法人の設立を薦められました。

 では、誰が経営者として事業を立ち上げるのか?家族で話し合った結果、ちょうどその頃、大学院で企業の広報活動を勉強していた学生の私に、白羽の矢が立ったのです。かくして2011年、27歳で代表取締役を務めることになりました。

しあわせなつながりを事業にも

 会社設立から数年が経ち、慣れないながらも周りの方々に支えられ、おかげさまで事業も徐々に広がっています。2020年に他界した祖父は、孫の私が土地を活かしていることをとても喜んでくれました。思えば、祖父母の家では植物が元気いっぱいに育っていました。枯れそうなものでもこの家に来ると不思議と精気を取り戻し、緑の癒しを与えてくれる。いい「気」がめぐっていたのでしょうか。いま、事業で同じようなことが起きているのも、偶然ではない気がしています。

 祖父母の住んでいた土地に建てたアパート経営第1号となるロワプルミエは、退去があってもすぐに入居者が決まるという幸運続き。しかも、皆さまお部屋を本当にきれいに使ってくださって、オーナーとしては感謝の気持ちでいっぱいです。もしかすると、祖父母の愛に守られているのかなぁって、心があったかくなるのです。

日々の物語を包む心地よい空間を

 2018年に弟の外村一磨に代表を譲り、現在は専務として全国での講演活動などに力を注いでおりますが、この仕事には単に資産活用や利益追求だけでは計れない、大切なものがあると感じています。私たち家族が土地の記憶を慈しみながら事業をはじめたように、ご入居の皆さまひとり一人の日々にも物語があるはずです。そのことを忘れずに、愛おしい気持ちで応援させていただきたい。人生の一時期を過ごすお部屋が豊かな思い出で満たされ、かけがえのない場所となりますように。これからも、ロワエールのプロジェクトに関わる協力会社の皆さんと同じ思いを共有しながら、やすらぎの住空間をお届けしたいと願っています。